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2018年4月17日火曜日

大工の離職率

建設業の職人の離職率が深刻です。

その中でも、特に大工の人口が激減しており・・・
地方では、大工の高齢化も合わせ既に大きな問題になっています。

国勢調査のデーターでは
20~24歳の大工人口が38年前に比べ10分の1も減。
高校新卒の入職者の半数が3年以内に大工を離職している。

さらに、様々な建設関連の職種の中で、大工の離職率が最も高く
他の業種は、離職しても建設業内に残る確率が高いのに比べ
大工の離職者は、建設業自体から離れてしまうことが多いのだとか。

大工人口の推移は・・・

1980年/約93万人
1990年/約73万人
2000年/約64万人
2010年/40万人

そして現在・・・
2018年/約32万人

ここまで落ち込んでいるのですね!!
38年前に比べ、3分の1という驚くべき数字です。

日本全国の数字なので、地域によってその影響は異なります。

私の妻の故郷、山形では現在・・・
県内の大工職人数が、たった5千人。(約)
そのうち40歳未満の大工は、1千人を下回るのだとか。
あの広~い山形県でです。

そこで、山形県、考えました。
大工のなり手を確保するため「若手大工技能習得サポート事業」を展開。
全国に先駆け、大工の若者に直接交付金を支給するとのこと。
5年間を目安にした技能習得サポートプログラムを新設。
入職1年目の大工本人にサポート資金として10万円(年間)を交付。
2級建築大工技能士の資格を取得して3年目を迎えると20万円を支給する。
対象は1年目が30人、3年目は20人を想定している。

ほほ~
面白い。

でも、1年で10万円だと、大工道具代にもなりませんね。(^^;)

インターネットで『職業』『大工』と検索してみると・・・
大工という職業に対して、様々な批評が出てきます。
なかでも辛辣だったのが『honne.biz』なるサイト。

道具は全部自前・福利厚生無し・ボーナス無し。
大工道具は高価なので、泥棒によく盗まれる。
安い単価に重い責任。

現場の遅れは、元請けの段取りが悪かろうが全て大工のせい。
知識のないド素人の元請けが口は出してくるが、金は出さない。
「ついでにこれもお願いします。」と頼まれる事が多々あるが
全然ついでではなく、賃金も支払われない。

仕上がりに傷一つでもあれば、身に覚えがなかろうが
全ての責任を大工が取らされる。

仕事があっても道具などの支出が多大。
ケガをしたら、借金して生活するしかない。
弁当も交通費も全て自分持ち。

う~ん、あまりにひどい内容ですが・・・
否定できないところも多々あります。(^^;)

まあ、飲食業や小売業、我々不動産業でも
自営業者だと同じようなモノなので
一概に大工だけが悪いと言う訳ではなく

また、技術が信頼につながる最たる職業なので
己の価値を上げるには、己の身一つなのです。
他者が一目置くほどの技術力を身につけるには
しっかりとした心意気と、長い下積みが必要となります。

でもここで、現代社会とのギャップが生まれます。

アルバイトをすれば、どこでも1日8千円を稼げる時代です。
時給千円で一日8時間、月27日間アルバイトすると月給は21万円以上。
技術が無くても、すぐに金が手に入る

大工の見習いはアルバイトより安く
その給金で3年~5年を超える下積みとなると
今の若者は、我慢できないというのが、現実のようです。

また、現在の建設業界は大手を主として
プレハブなどの工場生産が普及し続けており
コストカットの最大のターゲットは
大工の手間がとなります。
さらに、これからゼロエネ住宅の法制化に伴い
木造の在来工法の家は、益々減る一方で
大工の腕を振るうような日本的な家屋は
少なくなって行くでしょう。

「日本の文化を守る。」
「日本の伝統を伝えていく。」

本当にそう思っているなら、政府は国を挙げて
職人文化を守るような政策を打ち出すべきだと思うのです。
でも、そんなものは、どこにも見当たりません。

山形のような試み、全国に広がるとよいですね。
もっともっと、金額も規模も拡大して。
国の政策として、個人の職人業者に対して所得税を軽減するとか。
下積みの職人を登録制にして、税金ゼロにするとか。

エセ文化ではなく、本当の文化を残すために
良心のある政治家が出てくることを祈ります。

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