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2015年3月23日月曜日

床を塗装するには・・・

無垢の床に関して、誤解があります。

床材は、大まかに分けて、3種類です。

①無垢フローリング
②三層フローリング
③合板フローリング

一番普及しているのは、合板(複合)フローリングです。

12mm厚が標準で、約11.5mmのベニヤで形成されています。
表面に0.3mm程度の化粧シートや0.3mmの無垢の薄板を貼り合わせ、その下に衝撃吸収用の0.1mmの特殊シートがはさんであるような構造で、表面にウレタン塗装をしたものが多いです。

合板フローリングは、1枚が幅303mm×長さ1818mmと大きく、貼るのも容易です。
貼り合わせ時の調整や見付けも不要で、塗装もいりません。

殆どの建売住宅の場合は、このフローリングとなります。

価格はとても安いものが普及品として一般的に使われています。
ホームセンターなので見かけるのがその類のものです。
ただし、超高級な合板フローリングもあり、特殊加工されたものや高級突板を使ったものは、高額となります。

次に三層フローリング
15mm厚が標準で、縦目と横目に合わせた2枚のベニヤで形成されています。
表面に3mmの無垢単板を張り合わせたものです。
無塗装品と塗装品があります。

三層フローリングは、幅120mm前後×長さ1820mmの一枚もので、見た目は無垢フローリングと同じです。
合板が2枚重ねてあるので、狂いが少なく、床暖房にも対応しています。それでいて無垢材の意匠性を持っています。
但し、床暖房に使用する場合は、合板の捨て貼りを必要とするので、コストはドンと上がります。

価格は普及品の合板フローリングに比べ、2倍程度です。

合板フローリングも三層フローリングも構造は同じです。
表面だけが無垢板等で、そのほとんどが合板ということ。
よって、これらをひっくるめて「複合フローリング」と呼ぶ人も多く、
建築家によっては「接着剤が使用されている」と毛嫌いする方もいらっしゃいます。

そして、無垢フローリング。
個人的にフローリングという表現は、日本の場合、複合フローリングを指しているように感じるので・・・
私は、無垢床と言っています。

一概に無垢床と言っても、種類は様々です。

厚みも、12mm・15mm・18mm・20mm・30mm・36mmと多種で・・・
堅木の広葉樹の場合は、~20mmと薄く・・・
柔らかい針葉樹の場合は、~36mmと厚みがあります。

針葉樹は、国産が豊富で・・・
広葉樹は、輸入材が殆どです。

ただし、針葉樹でもパイン材として売り出されているものは輸入材となります。
ホワイトウッドと同じ北欧で大量生産されているものです。

パイン材は、とても安い。
普及品の合板フローリングと同じぐらいで手に入ります。
また、塗装の吸い込みが良いので、1度塗で済みます。

ただし、安さゆえに乾燥状態が悪いものが多く、痩せや反りを多く起こすので、当社では使わない商品です。

日本製の針葉樹は、グレードとしては檜>松>杉という順ですが・・・
但し、産地により檜よりも高額な杉や松があったりします。
色味も、白>赤>源平という価格順ですが・・・
モノによっては、白より赤が高かったり、高級で美しい源平も存在します。
更に、無節>上小節>節有と値段が変わり・・・
抜け節の有る無し、埋め節(抜けた節を直したもの)で更に価格が変わります。

松には正目まで存在し・・・

とても難しい。(^^;)
知れば知るほど、奥が深いのが日本の針葉樹の無垢床です。


価格は、合板と同等の物から3倍~4倍と、上にはキリがありません。


さらに無垢床は・・・

①無塗装品
②ウレタン塗装品
③オイル塗装品

に分かれます。
無塗装品は、貼った後、塗る必要があります。
ウレタン塗装品は、暑い塗膜が付くのでワックスフリーで、汚れも付きにくく、メンテナンスが楽とされています。
オイル塗装品は、建築時には塗る必要はないですが、塗装が薄く近い将来、塗り重ねが必要です。

さらにさらに・・・

①United(ユニ)
②Finger Joint Lamination(集成)
③One piece(一枚もの)

に分類されます。

ユニとは、短い無垢板を5枚程度接着剤で圧着して、長さを1820mmにしたものです。
集成は、もっと細かい無垢床を接着剤で圧着して、一枚にしたもの。
そして、本当の無垢床がワンピースの「一枚もの」となります。

実は・・・
ほとんどのビルダーで「無垢床」としておススメされるのは「ユニ」なんです。

日本のように乾燥技術や正確な加工技術を持たない中国や東南アジアでは、精密な一枚ものを作るのが難しい。外国では問題ないとされていても、日本の場合は寸分の狂いもクレームになります。
よって、短い板をつなぎ合わせることで狂いを抑え、高品質な一枚板を確保せずに、端材を使うことが出来るユニは、外国製造者にとってはとても扱いやすいものと言えます。

だから、一枚ものよりも安く・・・
また、殆どがウレタン塗装品なので、施工後も狂わない。
それが、多く使われている理由です。

でも、貼ってみると、継ぎ目が一杯出るので五月蠅いのです。
私は個人的に嫌いです。

2番目の集成の床は、さほど安くないので、ほとんど見受けません。

やっぱり本物の無垢床と言えば、幅105mm前後×長さ1820mm以上の一枚のものだと思うのです。

そして、絶対的に無塗装品が良い。

ウレタン系の塗装品は、つやが出ます。
仕上がりは、まるで合板フローリングのような風合いです。
無垢の素朴感が無いのです。

また、塗膜があるので最初はきれいなのですが・・・
この塗膜が経年で「ペリペリ」と剥がれてくるのです。

それが、なんともみっともない。

また、オイル仕上げの床材も、安価なオイルを一度塗りしているケースが殆ど。
1年ぐらいでクスんでくるのです。

だから、やっぱり、三拍子そろったものが良いのです。

「無垢」
「一枚もの」
「無塗装」

注文住宅「I様邸」
オークの120mm×1820mm×15mmの一枚ものを張込みました。

仕上げは、石井塗装の石井さん。

無塗装品の場合、塗装前にすべての床を紙やすりで表面を滑らかにするために削ります。



素地のまま塗ると、目に見えない木肌がささくれ・・・
ざらっとした表面になってしまうのです。

36坪の家です。
無垢の床面は、30坪あります。

これを丸一日かけて、手作業で削り出し、つるつるにするのです。

全て終わると、木の粉くずが大量に出るので、全て掃除機で吸い取り・・・
塗らない所は全てマスキングテープで縁を切り・・・

そして、4日掛けて塗ります。

丸一日かけて、全ての床を手刷毛で塗り・・・
1日乾かして・・・
2度目を塗り込みます。

床塗装だけで、1週間を要します。

この作業、合板フローリングであすと不要です。
省けるのです。
また、無垢床でも塗装品だと不要となるのですよ。


コストカットを考えたら・・・
どう考えても、塗装品になりますね。
そりゃ「無垢」「一枚もの」「無塗装」なんてものは、使えませんわ。

でも、やっぱり良いものは良いのです。

明日、仕上がりをご紹介します。
ご期待くださいませ。(^^)


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