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2014年10月5日日曜日

円安は住宅に・・・

円安が大進行しています。
先日、6年ぶりに1ドル110円を付けました。

輸出企業は歓喜の雄叫びをあげ・・・
輸入企業は顔面蒼白で声も出ない・・・

そんな状況のようです。

さて、我々はどうかと言いますと・・・
日本は、世界最大の食糧輸入国と言われています。
なんと、その輸入額は、全世界の10%にも及ぶのだとか。

つまり・・・
我々の生活は、円高の方が断然良いのです。

私が仕事としている住宅ビルダーはどうでしょう?
住宅の様々なメーカーの多くは、食品と同じように輸入品に頼っている現実があります。

米松、ホワイトウッドの集成材、構造用合板、広葉樹の床材、断熱材、建具(材料)、ドア、住宅機器(素材)等に至るまで、その多くが外国からの輸入品です。

当社でも国産材を意識して使用していますが・・・
大よそ4割は輸入品となるでしょう。

逆に100%輸入材の住宅の方が、大いでしょうね。
集成材と合板で作る2×4の住宅とかは、とくにそうなります。

つまり、円安の方が、絶対的に安く家を建てられるのです。

1ドル100円が、110円になるだけで、コストは1割程度上がります。

為替のアナリストが「120円になる可能性もある。」と言っていますね。

2×4の住宅であれば、単純に構造躯体の原価が2割UPすることとなるのです。

実際は、商社が北米の会社などから大量輸入を行っているので、円安時に仕入れた在庫はまだ残っているのですが、まあ、大概、便乗値上げをします。
在庫が無くなれば、さらに急激なコストUPになるのは間違いがありません。

現在・・・
政府の掲げる地方再生の旗印の元・・・
公共事業の大盤振る舞いがされています。

公共事業で使われるのはコンクリートに重量鉄骨です。
鉄骨や鉄筋、砂利やセメントが品不足となり、高騰を続けています。
型枠やシリコン、建材や足場等々、同様です。
そして、人材。

これら資材の値上がりとともに、人手不足による人件費の高騰。
政府はインフレ目標も掲げており、値上げは良いのだとしています。
そこへ来て、消費税の値上げ。
そして円安。

トリプルパンチとなります。

来年10月には、消費税がさらに2%上がります。

で・・・
我々住宅ビルダーは、住宅を値上げできるのか??
答えは、否です。

だって、お客様の年収は変わっていないのですから。

価格を20%上げたら、売れません。

そこで、どうするか?

価格据え置きで、利益確保に走ります。
要は、材料を抑える方向に向かう。
様々な材料において、今よりも安いものを使い始める。
簡単に言うと「材料を落とす」という表現。

世の中の原理は全て同じです。
小売だろうが卸だろうが「安かろう悪かろう」です。

でも、買う側は解りません。

例えば「オール国産の檜住宅」と謳っている家を1500万円で建てるという広告があったとします。
見た人は「それは凄い!」と、直感的に思う訳ですが・・・

国産材でも、製造元や産地により、品質も価格もピンキリです。
でも、素人は産地を聞いても解りません。

「国産材」が、一つのブランドとなってしまっていますから。

実際、47都道府県で林業があります。
つまり、全ての県で県産の檜や杉がある。
産地を気にする素人さんは、私、あったことがありません。
ビルダーが和歌山県産の檜から山梨県産の檜に変えても、解りませんよね。
どちらとも、「国産の檜」なのです。

でも、産地で品質や価格が大きく異なるのが材木業界なのです。さらに、材木の名産地の和歌山県でも、山が違って流通が違えば、まったく品質の違う材木と言えます。

牛肉にたとえると分かりやすい。
松坂牛、神戸牛、米沢牛とかブランドがありますが・・・
等級で言うと15ランクに分かれます。

A5最高級
A4高級
A3標準
A2標準に順ずるもの
A1劣るもの

B5~1
C5~1

これらすべて、日本の牛だったら「国産牛肉」と言います。
我々が肉塊として見て食べているのは主にAランクらしいですが、それ以外にBランクやCランクがあるなんて、知ってましたか??

A5とA1じゃ、倍以上価格が違うのです。

材木も全く同じです。

ただし、なにがどう違うか、個人が判断するのは・・・
よっぽどの知識が無いと出来ないのです。

有名どころでも・・・
吉野・紀州・木曾・東濃・・・
吉野杉一つとっても、グレードがある。(^^;)

正直、プロの私でも難しい。
良品の千葉県産の檜といわれても、価格も品質も実際に見て触って使ってみて、数年経過してみないと解らないのです。

私の経験則で・・・
「相場よりも数段安いものに、良いものは絶対ない。」

良いものは、必ずそれ相応の価格がします。
つまり安くて良く見えるものは・・・
見えないところで「削って」「手を抜いて」「落とす」
住宅は特にです。

今後、その傾向は、より顕著になってくると思われます。

牛肉なんて、レストランで焼いて出てきたら、国産か外国産かなんで解らないでしょ?
しゃぶしゃぶ屋が産地不明の肉を松坂牛と偽って高額で売りさばいていて事件になっていますが、そんなのが普通にまかり通る世界です。
ファミレスで出ているステーキがB~Cランクの赤身と油を接着剤でくっつけた成形肉だなんて知っている人はとても少ない。

住宅も全く同じ。
家は、見えないところが性能となるのです。
構造に悪い材料を使うのは絶対に避けたい。
でも、そこを落とさないと儲からない。

本来であれば、「見えないところにどれだけ手を掛けるか。」が職人の腕の見せ所だったのですが・・・

そして、結局、その見えないところが将来の欠陥になる訳です。

買う側は、それを肝に銘じてください。

ただし・・・・

「だったら、信頼のおける大手メーカーで建てる」
「ネームバリューのある工務店で建てる」
「大手パワービルダーの新築住宅を買う」

というような勘違いは本末転倒です。

企業が大きく成ればなるほど、現場数が増え管理が行き届かなくなります。職人も足りなくなるので経験不足の職人を急増します。そうなると、まともな家を創ることが困難になってくる。

そこでなにをしだすかというと、規格の統一です。

同一の材料を大量に仕入れる。
同一規格のモノばかりを生産する。

結果、みんな同じ家になる。
間取りも同じ、外観も同じ。

そうすることにより、職人も同じものを造り続けるので、現場管理をしなくても良くなる。
そして、難しい事は一切せず、それを理由に下請けや孫請けの職人の手間を極限にカットする。

大量仕入れは、大きなコストダウンになるので、一石二鳥ですね。

だから、決して企業が「大手」とか・・・
宣伝を多く打って「ネームバリュー」があるだとかが・・・
良いものを造るわけ基準になるわけでは、無いのです。

安いものを魅力と感じるお客様方へ。
個人的なアドバイスとして・・・
一つだけ。

「安い物を買う場合は、覚悟をして買う。」



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